出演:ジョナサン・リース・マイヤーズ、
スカーレット・ヨハンスン、エミリー・モーティマー、マシュー・グード
監督:
ウディ・アレン製作年:2006
製作国:イギリス/アメリカ/ルクセンブルク

フランスのポスターにしては珍しく、夢がないな。
日本の公式イメージの方が良い。
明日8月19日公開。シンデレラ・ボーイの話。
ただしこのお話は、
「お姫様は王子様と結婚し、幸せに暮らし…」から始まる。
はい、
面白すぎる。やられた。ウディにやられた。
こういう意味(=本来の意味)で
“面白い”作品を、久々に観た気がします。
最近見た作品群……結構濃いラインナップですが、その中でも
ピカイチ。
それは周りの観客も同様だったようで、上映終了後に
「なるほどね」と溜め息が吐き出され、クレジット終了後には
拍手が起きました。
そんな盛大な拍手でもないですが、日本の劇場では初めて遭遇したかも。
まず小説家としての
ウディ・アレン。
ラスト30分くらい、画面から目が離せず、手に汗握ります!
ストーリーに凝らない
ラブストーリーだと思いこんで(なぜか)見ていたので、こんなに
ドンデン返しの畳み掛けが来るとは予想外。
というか、
こういう種類のドンデン返しもまた中々見かけない。
“結末を予想することにあまり意味のない”ドンデン返しと言いますか。
しかもね、このラストの畳み掛けに関しては、
映像で見るからこそ面白いのがまたスゴイ。
小説じゃ、上手く面白く見せにくいんじゃないだろうか。
それに加え、タイトルの
『マッチポイント』とその概念がラストで身を結ぶ、この
オチ具合も見事。
オチが2重だったのも天晴れ。
途中で1箇所、
「あぁここに(タイトルを)落とし込んだのか」っていう場面があるのだが、それだけじゃ終わらなかった。
ストーリーそのものの
練りこみに唸った1作でした。
ただ、同じようなストーリー展開に覚えがあります。
映画だか小説だったか忘れましたが…本作を見て何か思い当たった方は、教えてください(笑)
そして
監督としての
ウディ・アレン。
前述したラスト展開の濃さに比べると、途中経過に時間割きすぎなのかもしれませんが、私は全てのシーンを面白く見られました。
クリス(
ジョナサン演じる主人公)が
イギリス上流階級に溶け込む手腕の狡猾さなんて、細かく見ていると奥が深いのだ。
小鹿のフリして
狼ですから。せくしー・びーすと?(笑)
もちろん舞台が
ロンドンなので、その時点で見る価値を感じる方も(特にこのブログのお客様には)多いのでは?
例えば、
Break a leg!っぽい場所としては、こんな所が出てきます。(写真はロンドン滞在中に撮ったモノ)
ロイヤル・コート劇場。
女優志望の
ノラ(スカーレット)が、
クリス(ジョナサン)付き添いの元、オーディションを受けに来る劇場です。
アラン・リックマン監督の
『My name is Rachel Corrie』の上演劇場なので、ちょうど女性の一人芝居ということもあり、「
ノラは
MNiRCのオーディションを受けに来た」という脳内設定で見ていました(笑)
クリスが外で
ノラを待っている時、ずっと背後に劇場が映っているのですが、偶然か意図してか、向かって左側
MNiRCの広告がある辺りが映りません…多分。
もしかしたら映ってたかも?これから観る方はぜひ確認を(笑)
そしてココ。

幻の(笑)
『Woman in White(白い服の女)』by
ロイド・ウェバー。
エミリー・モーティマー演じる妻に
「あなたウェバーは嫌いじゃなかった?」と言われつつも、観劇に行く
クリス。
翌日に
「昨日の舞台は良かった」とか言ってますが、ストーリー上、彼には
舞台を見る気持ちの余裕なんて無かったハズ。なんで、真偽のほどは分かりません(笑)
でも本当にちょろっとですが、
劇中の曲も流れますヨ♪
さて、キャストさんたち。
ジョナサン・リース・マイヤーズ。主演映画でよくよく見ると、
タイプじゃないことが判明したので、太字はやめました(笑)
ただ、クセがなく役と合っていたし、しかも上手く演じていたので、俳優としては良かったです。
男の原罪というか、
本性というか、上手く表していました。
クリスは
愚か且つ運の強い男だったのか、それとも
自分の強運を見越して全てを成し遂げたのか、その判断を観客に委ねる、ギリギリのラインの演技が上手かったと思う。
スカーレット・ヨハンソン。監督に惚れ込まれると、
女優は輝くんですね〜。
色気はもちろんのこと、
狡猾さと
浅はかさの両面を持つ女性として、普段あまり見せない
声を荒げる演技も見られた…つまりとにかく、
色んな表情を撮られていたゆえに、
輝いていたと思う。
時近くして、彼女が主演に名を連ねる映画をもう1本観たのですが、本作での彼女の方が、
断然美しかったですよ。
エミリー・モーティマーは、
『Dearフランキー』のお母さん役だった女優さん。
こういう女って男性から見るとウザいんだろうなーっていうのが、見てて
痛かったです…気をつけよっと。(笑)
この作品全体、そして
“マッチポイント”という概念のテーマは
「運」。
この作品を観ると、
「世の中ってこういうもんなのかもね、やっぱ」と思う反面、
「本当の運の良さって何なんだろう?」とも考えちゃう。
クリスは強運だし、最後の最後に出てくるセリフもそれを反映していて
ピリ辛く面白いんだけど。
でも
クリスが今回の件で学ばず、もう1回しくじったら、今度はどうなるんだろうとか。
人生の最後の最後でもし全てがばれたら、それは初期にばれてることより、どっちが辛いんだろうとか。
どっちが強運と言えるんだろう?とかね。
「辛い体験を通して人は成長する」というのは、もしかしたら
運の悪さに対する単なる慰めなのかも(笑)
全てが要領よく進んでしまう人とか、ここぞと言う時に上手くいく人(失敗する人)、生まれつき何かを持ってる人…いるもんね、実際(笑)
運が良いと見るか、
悪いと見るかって、実はすべて
当人の人生観にかかっているのかも。
自分の望みどおり全て上手くいくことが
「運の良さ」と見る人もいれば、
世の中の吸いも甘いも見られることに運の良さを見出す人もいるかも…(ただ後者は、最終的に成功した場合だけかな・笑)
観た後に、その映画のテーマについて、こんだけ考えさせられるのも
傑作の証拠だと思う。
観てオイシイ、観た後もオイシイ、
スルメのような映画ですな。