監督:ジョナサン・ノシター
製作年:2004
製作国:フランス、アメリカ
見る前はワイン畑オーナーの頑固なオヤジを追ったドキュメンタリーかと思っていましたが、ふたを開けてみれば、タイトル通り“ワイン産業界の今”(2004年製作ですが)を追ったドキュメンタリーでした。
これだけ世界中で市場を広げている業界ですから、ビジネスライクなシーンや、仕掛け人がいないわけはありません。
頑固なオヤジも出てきますが、そんな職人の対極とも言える、“ビジネスマン”としてワイン界に関わる面々も出てきます。
ソムリエの資格も持つジョナサン・ノシターが監督しているせいか、どちらに加担するわけでもなく、現状を淡々と伝えてくれます。
製作にアメリカが関わっているのも興味深い。
ワインにおいては、フランスとアメリカは因縁ありますからね~。
詳しくは映画『ボトル・ショック』(アラン・リックマン主演!)をご覧あれ。(って私もまだ見てないけど)
ワイン大国のフランスが、ワインの“味”においてアメリカに惨敗するという(ワイン的)歴史的事件を描いています。
ただし、フランス対アメリカという単純構造の作品ではないので悪しからず。
ワインが純粋に好きなフランス人だって、儲けるためには近道もしたくなるもんです。
文化のグローバリゼーションにおいて散々同じような論争がありましたが、現代の大多数の人が美味しいと思う最小公倍数の味を作り、ワイン業界を活性化させることを、“民主化”と呼ぶか“没個性”と呼ぶかの戦いは、ワイン界でも起こっています。
人間が関わる以上、何でも政治になってしまうのは避けようがないのかも。
この人の隣に1時間いたらドッと疲れそう!と思わせる強烈キャラクターのワインコンサルタント、ミシェル・ロランは味のセンスがあり、ワイン評論家のロバート・パーカーはワインの味を整理するのに長けていて、それぞれ業界の功労者。
しかし2人が結託して、“今売れる味”ばかりを作り出したら?
20年後に楽しめるワインが必要とされなくなってしまったら?
グローバリゼーションの全てを否定するつもりはありませんが、ロマンを奪われてしまっては、世界もワインも味気ないものになってしまうよね。
って、珍しく上手くまとまっちゃったね(笑)
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